基礎知識 (法人税No.98)

欠損金の繰戻し還付

前回は、欠損金の繰越控除制限について説明しましたが、今回は、欠損金の繰戻し還付について説明したいと思います。

青色申告書を提出する法人で生じた欠損金は、それが生じた事業年度(欠損事業年度)の期首以前1年以内に開始したいずれかの事業年度(還付事業年度)に繰り戻して、その年度の法人税額の還付を受けることができます。(ただし、資本金1億円超の大法人および資本金5億円以上の法人の100%子会社については、繰戻し還付が認められていません。)

還付金額は、以下の算式にて計算します。

還付金額=還付事業年度の法人税額×欠損事業年度の欠損金額/還付事業年度の所得金額

なお、地方税には欠損金の繰戻し還付制度はありません。したがって、法人税の繰戻し還付を受けた時は、法人税と事業税の計算で、それぞれの所得金額が食い違うことになります。また、住民税の法人税割額を計算する際は、還付法人税額を控除した金額が課税標準となります。

設例
  1. 第1期の所得金額 300万円
  2. 第2期の欠損金額 ▲400万円
  3. 第3期の所得金額 700万円

法人税額(税率を25%と設定)
  • 第1期:300万円×25%=75万円
  • 第2期:欠損金の繰戻還付・・・75万円×300万円/300万円=75万円
    欠損金の繰越し・・・400万円-300万円=100万円
  • 第3期:(700万円-100万円)×25%=150万円

事業税額(税率を10%と設定)
  • 第1期:300万円×10%=30万円
  • 第2期:納付税額 0円 欠損金の繰越し 400万円
  • 第3期:(700万円-400万円)×10%=30万円

住民税法人税割額(税率を20%と設定)
  • 第1期:75万円×20%=15万円
  • 第2期:納付税額 0円
  • 第3期:(150万円-75万円)×20%=15万円

2013年10月12日

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