基礎知識 (法人税No.97)
- 欠損金の繰越控除制限
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前回は、解散の場合の欠損金の引継ぎ制度について説明しましたが、今回は、欠損金の繰越控除制限について説明したいと思います。
欠損法人を利用した租税回避行為を防止するため、欠損法人の株式の50%超を取得した後、5年以内に従来の事業を廃止し、かつ、その事業規模を大幅に上回る事業を開始した場合で次のいずれかに該当するときは、青色欠損金の控除制度が適用できません。
- 休眠会社を買収し、買収後に事業を開始した時
- 買収後、従来の事業をすべて廃止し、または廃止が見込まれている場合で、直前の事業規模の5倍を超える資金の借り入れや出資を受けた時
- 買収企業が、買収する欠損法人の一定の債権を他から取得している場合で、その欠損法人が直前の事業規模の5倍を超える資金の借入等を行ったとき
- 買収する欠損法人を被合併法人又は分割法人とする適格合併等を行ったとき
- 直前の役員が全員退任し、かつ、直前の使用人の20%以上が使用人でなくなった場合で、事業規模が従来の5倍超となったとき
なお、上記の取り扱いに連動して、買収された欠損法人における資産の譲渡損失の計上を規制する措置も講じられています。すなわち、欠損金の繰越控除制限を受けることとなった事業年度から3年以内(買収から5年を限度)に資産を譲渡し譲渡損失が生じた場合、その損失は損金不算入となります。
2013年10月12日
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