基礎知識 (法人税No.94)

会社更生等による債務免除があった場合の欠損金の損金算入制度

前回は、災害による損失金の繰越控除制度について説明しましたが、今回は、会社更生等による債務免除があった場合の欠損金の損金算入制度について説明したいと思います。

会社更生法や民事再生法の規定による更正または再生手続の開始決定があった場合、次の1から3に該当する事実が生じた場合には、その事業年度以前に生じた欠損金額のうち、1から3に該当する金額の合計額を損金に算入することができます。

  1. 債権者から債務免除を受けたとき・・・債務免除益
  2. 役員等から贈与を受けたとき・・・私財提供益
  3. 資産の評価替えをしたとき・・・評価益

ここでいう繰越欠損金額は、青色欠損金および災害損失金を控除した金額です。したがって、繰越欠損金のうち損金算入の適用期間(過去9年間)前の事業年度分(期限切れ欠損金)を優先して控除することにより、青色欠損金は以後の年度にさらに繰り越すことができます

設例

  • 資産の評価益・・・500万円
  • 資産の評価損・・・1,000万円
  • 債務免除益・・・6,000万円
  • 青色欠損金・・・4,000万円
  • 期限切れ欠損金・・・3,000万円

債務免除益に対して、以下の順序で損金が計上できます。

第一順位
評価益を相殺した後の評価損の金額・・・1,000万円-500万円=500万円①
第二順位
期限切れ欠損金額・・・3,000万円②
第三順位
青色欠損金額・・・4,000万円のうち、2,500万円③
①+②+③=6,000万円

以上の結果、青色欠損金のうち、1,500万円は翌期以降に繰り越されることになります。

2013年10月11日

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