基礎知識 (法人税No.89)
- 借地の無償返還
前回は借地権を譲渡した際の取り扱いについて説明しましたが、今回は借地の無償返還について説明したいと思います。
借地人が借地を地主に返還するにあたり、借地権の価額に相当する立退料を授受する取引上の慣行がある場合で、その全部または一部を収受しないときは、原則として、通常収受すべき立退料と実際に収受した立退料の差額に相当する金額を相手方に贈与したものとみなされます。
ただし、立退料を収受しないことが以下の理由による場合には認定課税されません。
- 借地権の設定契約書で将来借地を無償で返還することが定められており、かつ、その旨を税務署に届け出ていること。
- 土地の使用が使用貸借契約に基づくものであり、かつ、その旨を税務署に届け出ていること。
- 土地の使用目的が、単に物品置き場、駐車場など土地を更地のまま使用し、または仮営業所、仮店舗などの簡易な建物の敷地として使用するものであること。
- 借地上の建物が著しく老朽化したこと、その他これに類する事由で借地権が消滅し、またはこれを存続されることが困難と認められる事情が生じたこと
上記の取り扱いにより借地を無償で返還した借地人側には、通常収受すべき立退料を収受したものとして(その価額で借地権を譲渡したものとして)譲渡益の認定課税がなされます。
(借)寄付金 ×× (貸)借地権 ××
譲渡益 ××一方で、返還を受けた地主側では、土地の帳簿価額を増額することになります。すなわち無償で返還を受けたときは、借地権の設定時に減額した土地の帳簿価額相当額の戻入が行われ、土地勘定が借地権設定前の帳簿価額に戻されます。また、返還の際に立退料を支払えば、その立退料と借地権設定時に減額した金額のいずれか多い金額が土地の帳簿価額に加算されます。
(借)土地 ×× (貸)返還益 ××
2013年10月11日
新田会計事務所 >基礎知識 >基礎知識(法人税②) >基礎知識(法人税No.89)