基礎知識 (法人税No.86)

借地権設定による土地帳簿価額の減額

前回は権利金の認定課税について説明しましたが、今回は借地権を設定した際の土地の帳簿価額の減額について説明したいと思います。

借地権を設定して他人に土地を使用させると、地主側は権利に大きな制約を受けることになります。そのため、通常土地の価額が大幅に低下します。そこで、借地権設定前の更地価額に対する設定後の底地価額への低下割合((更地価額-底地価額)/更地価額)が1/2以上であるときは、その土地の帳簿価額を次の算式にて計算した金額まで減額し、損金に算入することになります。

損金算入額=土地の帳簿価額×(借地権の価額(受取権利金+認定権利金)/土地の更地価額

なお、この損金算入の規定が適用されるのは、建物または構築物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権に限られますので、資材置き場や駐車場のように土地を更地で貸し付ける場合は、帳簿価額の減額はできません。

設例
  • 土地の更地価額・・・3億円
  • 受取権利金・・・5,000万円
  • 認定権利金・・・1億円
  • 土地の帳簿価額・・・1,000万円

上記の前提で借地権の設定により土地の価額が8,000万円に下落した場合、土地帳簿価額の損金算入金額は次のとおりとなります。

土地価額の低下割合・・・(3億円-8,000万円)/3億円=73.333%>50%

損金算入額・・・1,000万円×(5,000万円+1億円)/3億円=500万円

2013年10月10日

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