基礎知識 (法人税No.71)

保険金で取得した固定資産の圧縮記帳②

前回は保険金で取得した固定資産の圧縮記帳について、適用を受けるための要件について説明しましたが、今回は、保険金で取得した固定資産の圧縮記帳についてその圧縮限度額の計算について説明したいと思います。

保険金で取得した固定資産に対する圧縮記帳の圧縮限度額は、以下の算式にて計算した金額となります。

圧縮限度額=保険差益金の額×代替資産の取得原価/差引保険金等の額

保険差益金の額=差引保険金等の額-被害資産の被害部分の帳簿価額
差引保険金等の額=取得した保険金等の額-滅失等による支出経費の額

上記の滅失等による支出経費の額には、滅失資産の取り壊し費、焼跡の整理費、消防費などの諸経費が含まれます。ただし、類焼者に対する賠償金、けが人への見舞金、被災者への弔慰金など固定資産の滅失に直接関連しない経費は含まれませんので、注意が必要です。

また、被害資産の被害部分の帳簿価額については、減価償却超過額などの税務否認金があれば、これを調整した税務上の帳簿価額によらなければなりません。

なお、代替資産は原則として保険金を受け取った事業年度内に取得しなければなりません。ただし、指定期間(原則として翌期首から2年間)以内に代替資産を取得する見込みがあれば、以下の算式で計算した金額を特別勘定として処理すればその経理した金額は損金に算入されます。

特別勘定繰入限度額=保険差益等の金額×代替資産の取得見込価額/差引保険金等の額

なお、特別勘定を設けている場合、翌期以降に代替資産を取得した場合は、特別勘定に対応する保険金で取得した固定資産の圧縮限度額相当額を取り崩して、益金に算入しなければなりません。

2013年9月21日

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