基礎知識 (法人税No.112)
- 試験研究費の税額控除の計算方法
前回は、試験研究費の税額控除の概要について説明しましたが、今回はその具体的な計算方法について説明したいと思います。
前回説明しましたように、税額控除の計算については、総額型の控除のほか、平成20年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度については、増加型または高水準型のいずれかで計算した金額を税額控除に上乗せすることができます。(ただし、上乗せ控除額は当期の法人税額の10%相当額を限度とします。)
(1)総額型の計算について
総額型の計算については、各事業年度に支出された試験研究費の総額に対して、一定の割合で税額控除が認められます。控除限度額は、試験研究割合(当期を含む過去4年間の平均売上高に対する試験研究費の割合)に応じて、次の控除率で計算します。
- 試験研究費割合10%以上・・・税額控除率10%
- 試験研究費割合10%未満・・・税額控除率8%+試験研究費割合×0.2
なお、実際に控除できるのは、当期の法人税額の30%相当額を限度とし、また、税額基準の適用により総額基準で算定した限度額の一部が当期に控除できないときには、1年間の繰り越し控除が認められています。
(2)増加型の計算について
増加型の計算については、比較試験研究費と基準試験研究費の金額を以下のようにして求めます。
- 比較試験研究費額=過去3事業年度の支出額の平均額
- 基準試験研究費額=過去2年間で試験研究費額が最も多かった事業年度の支出額
ここで、当期の試験研究費が比較試験研究費を超え、かつ、基準試験研究費を超える時は、以下の金額を控除限度額として、(1)の税額控除額に加算します。
- (当期試験研究費の額―比較試験研究費の額)×5%
(3)高水準型の計算について
売上高に対する試験研究費の割合が高い企業については、増加型の計算との選択適用で、当期の試験研究費の額が平均売上金額(当期を含む過去4年間の平均売上高)の10%を超えるときは、その超える部分の金額に以下の控除割合を乗じた金額を控除限度額として、(1)の税額控除額に加算します。
(試験研究費割合-10%)×0.2
2013年10月27日
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