基礎知識 (法人税No.64)

貸倒引当金の経理処理方法について

貸倒引当金の経理処理方法として、洗替法と差額補充法の2つの方法があります。

洗替法とは、前期末に設定した貸倒引当金を全額そのまま収益に戻入処理し、当期末において改めて当期分の貸倒引当金を繰り入れる処理を行う方法です。

設例:前期末に貸倒引当金100万円が設定されており、当期末の貸倒引当金が120万円である場合

仕訳例

(借)貸倒引当金 100万円  (貸)貸倒引当金戻入益 100万円
(借)貸倒引当金繰入額 120万円  (貸)貸倒引当金 120万円

次に、差額補充法とは、前期末に計上した貸倒引当金と当期末に計上すべき貸倒引当金の差額分を損益計算書上、費用又は収益として計上する方法です。

仕訳例

(借)貸倒引当金繰入額 20万円  (貸)貸倒引当金 20万円

両者いずれの方法によっても当期純利益に与える影響額は同じになり、また、貸借対照表上の貸倒引当金残高も同じとなります。つまり、洗替法と差額補充法のいずれで処理しても企業会計上は同じ影響となります。

税務上は、原則として洗替法を要求していますが、会計基準を尊重し、差額補充法の処理も認められています。

また、貸借対照表における表示方法ですが、貸倒引当金は、貸借対照表の資産の部で各金銭債権が属する科目ごとに控除する形式で記載する間接控除方式が原則ですが、債権金額から貸倒引当金金額を直接控除し、貸倒引当金を注記する直接控除方式も認められています。また、間接控除方式と直接控除方式のいずれの場合でも、貸倒引当金を2以上の科目につき一括して記載することも認められています。

2013年9月19日

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