基礎知識 (法人税No.62)
- 個別評価引当金について
個別評価引当金とは、金銭債権について民事再生手続開始の申し立てや、会社更生手続開始の申し立て等の所定の事象により、債権の回収につき疑義が生じている場合に、個別に計上される引当金のことを言います。
税務上個別評価引当金の計上が認められる債権は、長期棚上げ債権、事実上の回収不能債権、形式上の回収不能債権及び外国の回収不能公的債権の4つに限定されています。
①長期棚上げ債権・・・次の事実により弁済猶予あるいは分割弁済されることになった金銭債権のことをいいます。
- 更生計画の認可決定
- 再生計画の認可決定
- 特別清算に関する協定の認可決定
- 債権者集会や第三者(行政機関または金融機関など)の斡旋による合理的な内容の協議決定
長期棚上げ債権の個別評価引当金繰入限度額は、債権のうち、翌期首から5年以内に弁済されない部分の金額(担保権の実行などで取り立てが可能な金額を除く。)となります。
②事実上の回収不能債権・・・債務超過の状態が相当期間(おおむね1年以上)継続し、事業好転の見通しが無いこと、債務者が天災事故や経済事情の急変などで多大の損失を被ったことなどの理由により、金銭債権の一部が回収不能となった場合のその一部の金額が個別評価引当金繰入限度額となります。
③形式上の回収不能債権・・・次の事実が生じている金銭債権のことを言います。
- 更生手続開始の申し立て
- 再生手続開始の申し立て
- 破産手続開始の申し立て
- 特別清算開始の申し立て
- 手形交換所で取引停止処分を受けたこと
形式上の回収不能債権については、債権金額から以下の金額を控除した金額に対して50%相当額が個別評価引当金繰入限度額となります。
- 債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権と認められない金額
- 担保権の実行、金融機関または保証機関による保証債務の履行などで取り立て可能と認められる金額
④外国の回収不能公的債権・・・外国政府、中央銀行又は地方公共団体に対する金銭債権で、長期にわたる債務履行の遅延により経済的価値が著しく減少し、かつ、弁済が著しく困難と認められる金銭債権のことをいい、当該債権金額の50%相当額が個別評価引当金繰入限度額となります。
2013年9月19日
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