基礎知識 (法人税No.60)
- 一括評価金銭債権の貸倒引当金について
一括評価金銭債権とは、経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権のことをいいます。この一括評価金銭債権に対する貸倒引当金の設定方法には、貸倒実績率法と法定繰入率法の2つの方法があります。
貸倒実績率法とは、過去3年間に実際に発生した貸倒損失の金額に基づき、以下の算式で貸倒実績率を算定し、貸倒引当金を求める方法のことをいいます。
貸倒実績率=((A+B-C-D)×(12/各事業年度の合計月数))÷E
貸倒引当金=期末一括評価金銭債権×貸倒実績率
- A:分母の各事業年度における貸倒損失の合計額
- B:各事業年度の個別評価分の引当金繰入額
- C:各事業年度の個別評価分の引当金戻入額
- D:適格組織再編成により引き継ぎを受けた貸倒引当金の金額
- E:当期首3年以内に開始した各事業年度終了時の一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額÷各事業年度の数
次に、法定繰入率法は、中小法人においてのみ認められている計算方法であり、一括評価分の貸倒引当金を計算する際、業種ごとに定める法定の繰入率により計算する方法です。法定繰入率は業種別に次のとおり定められています。
- 卸売業・小売業(飲食業を含む)・・・10/1000
- 割賦販売小売業・割賦購入斡旋業・・・13/1000
- 製造業(電気・ガス・水道・熱供給・修理業含む)・・・8/1000
- 金融業・保険業・・・3/1000
- その他事業(サービス業・不動産業等)・・・6/1000
なお、貸倒実績率法と法定繰入率法は事業年度毎に選択することができます。
2013年9月17日
新田会計事務所 >基礎知識 >基礎知識(法人税①) >基礎知識(法人税No.60)