基礎知識 (法人税No.39)

時価ヘッジ処理について

前回は、繰延ヘッジ処理について説明ましたが、今回はもう一つのヘッジ処理方法である時価ヘッジ処理について説明したいと思います。時価ヘッジ処理とは、売買目的外有価証券の時価と帳簿書類の差額のうち、デリバティブ取引による利益または損失に対応する部分の金額について、損金又は益金に算入することができるといった処理方法のことをいいます。

ここで、時価ヘッジ処理が適用されるヘッジ取引は売買目的外有価証券の価格変動により生じる損失を減少させるためにヘッジ手段として行われるデリバティブ取引となります。

次に、時価ヘッジ処理が適用されるには以下の要件を満たす必要があります。

  1. デリバティブ取引を行ったときから期末時点までの間に、その売買目的外有価証券を譲渡していないこと。
  2. デリバティブ取引が、ヘッジ対象である売買目的外有価証券の価格の変動により生じる損失を減少させるために有効であると認められること。

上記2の有効性については、繰延ヘッジ処理と同様にヘッジ対象に係る損益とヘッジ手段に係る損益との差額がおおむね80%から125%となっている場合に有効であると判定されます。

また、時価ヘッジ処理が法人税法上適用を受けるためには、ヘッジ対象資産である売買目的外有価証券を期末時または決算時の時価により評価し、もしくは外国為替の売買相場により換算する旨、当該売買目的外有価証券及びデリバティブ取引等の種類、名称、金額、ヘッジ対象有価証券損失額を減少させようとする期間などを、デリバティブ取引を行った日に帳簿書類に記載する必要があります。

2013年9月3日

ページトップへ

新田会計事務所 >基礎知識 >基礎知識(法人税①) >基礎知識(法人税No.39)