基礎知識 (法人税No.38)
- 繰延ヘッジ処理について
前回は、デリバティブ取引のヘッジ処理の概要について説明しましたが、今回は具体的な処理方法の1つである繰延ヘッジ処理について説明したいと思います。繰延ヘッジ処理とは、ヘッジ手段であるデリバティブ取引から生じる利益または損失のうち、ヘッジ手段として有効と認められる部分の金額について益金又は損金に算入せず、ヘッジ対象資産等の損益が最終的に計上されるまで繰り延べる処理のことをいいます。
ここで、繰延ヘッジ処理が適用されるヘッジ取引は、ヘッジ対象にかかる損失を減少させるために、ヘッジ手段として行われるデリバティブ取引とされ、ヘッジ対象に係る損失とは以下のものを言います。
- 資産又は負債の価格の変動に伴って生じる損失
- 資産の取得、譲渡、負債の発生、消滅、金利の受取り、支払等の決済により受け取る(又は支払う)金銭の額の変動に伴って生じる損失
次に、繰延ヘッジ処理が適用されるには以下の要件を満たす必要があります。
- デリバティブ取引を行った時点から期末時点までに、ヘッジ対象に係る損失が実現していないこと。
- デリバティブ取引が、ヘッジ対象に係る損失を減少させるために有効であると認められること。
上記2の有効性については、ヘッジ対象に係る損益とヘッジ手段に係る損益との差額がおおむね80%から125%となっている場合に有効であると判定されます。
なお、繰延ヘッジ処理が法人税法上適用を受けるためには、ヘッジ対象資産等及びデリバティブ取引等の種類、名称、金額、ヘッジ対象資産等損失額を減少させようとする期間などを、デリバティブ取引を行った日に帳簿書類に記載した場合に限り適用されます。
2013年9月3日
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