基礎知識 (法人税No.36)
- デリバティブ取引の処理について
前回は、デリバティブ取引の概要について説明しましたが、今回はデリバティブ取引の税務上の処理方法について説明したいと思います。デリバティブ取引のうち、期末未決済のものについては、先物外国為替取引、スワップ取引、オプション取引で一定の要件を満たすものを除いて、期末時に決済を行ったものとみなして、それから算出される利益または損失の額を毎期洗い替えの方法で損益計上することになります。
ここで、企業会計上は、デリバティブ取引について契約締結時から時価の変動によるリスクが生じているため、契約締結時から金融資産又は負債の発生の認識を行って貸借対照表に計上を行い、評価差額については、原則として当期の損益として処理することになります。法人税法上は、この企業会計の取り扱いに基づいております。
次に、金利スワップ取引及び金利オプション取引で一定の要件を満たすものについては、期末未決済のものでも時価評価対象外とされています。この要件については、以下の通りです。
- 金利変動に伴って生じる恐れのある損失額を減少させるために行ったものであること
- 取引を行った日に、ヘッジ対象資産等の種類、名称、金額、期間、金利変動損失額を減少させるために取引を行った旨、期末時に決済したものとみなさない旨等を帳簿書類に記載したこと
- 想定元本とヘッジ対象資産等の金額が概ね同額であること
- スワップ取引の期間の終了日とヘッジ対象資産等の償還等の期日が概ね同一であること
- スワップ取引とヘッジ対象資産等から生じる金利の計算基礎となる指標が概ね一致していること
- スワップ取引とヘッジ対象資産等から生じる金利のそれぞれの受取又は支払期日が概ね一致していること
- スワップ取引の金利相当額が取引期間を通じて一定の金額または特定の指標を基準として計算されていること
2013年9月1日
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