基礎知識 (法人税No.33)
- 有価証券の評価方法について
法人税法上、有価証券とは以下の証券のことをいいます。
- 株券
- 合名会社、合資会社または合同会社の出資証券
- 国債証券
- 地方債証券
- 社債券、転換社債券および新株予約権付社債
- 特別の法律により法人の発行する債券
- 投資信託又は貸付信託の受益証券等
ここで、上記の有価証券の評価方法について法人税法上は以下のように定めています。
- 売買目的の有価証券・・・時価法
- 満期保有目的の有価証券・・・償却原価法
- その他の有価証券・・・原価法
上記のうち、原価法は総平均法又は移動平均法のいずれかの方法で帳簿価額を算出する方法です。
次に、時価法ですが、時価法が適用される売買目的の有価証券とは、短期的な価格変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券のことをいい、以下のものが該当します。
- 専従の担当者が短期売買目的で取得したもの
- その他の有価証券と区分した勘定科目で帳簿に記載したもの
- 金銭信託のうち、他の有価証券と区分した勘定科目で帳簿に記載したもの
売買目的の有価証券かどうかの実務的な判断としては、同一銘柄に対して相当程度の売り買いを反復して行い、証券会社や金融機関にてディーリング部門など専門の部署を設けて運用している場合などが該当します。ただし、一般の事業会社が保有する有価証券であっても、短期売買目的である旨の勘定科目で計上すれば、時価法を適用することは可能です。
時価法を適用する場合の時価は、上場有価証券であれば、期末日の終値となります。時価法の適用により計上される評価損益は、その事業年度の所得計算上、損金又は益金に算入されます。また、計上した評価損益は翌期に洗い替え処理されます。
次に償却原価法についてですが、売買目的以外の有価証券のうち、償還期限及び償還金額のあるものについて、帳簿価額と償還金額との差額を取得時から償還時のまでの各期間に、定額法など一定の基準で配分しなければなりません。償却原価法の適用により損益に計上される配分額はその事業年度の損金又は益金に算入されます。
2013年8月31日
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