基礎知識 (法人税No.17) 

貸倒損失について
貸倒れとは売掛金や貸付金などの債権について、相手先が倒産などによりその債権の回収が不能となることを言います。
法人税法上は、この貸倒れによる損失額は損金に算入されることとなります。ただし、貸倒れの認定は非常に難しく、債務者が資力を失い回収不能となった場合に限られます。
単に回収が滞っているというだけでは貸倒れとしては認定されません。法人税法上貸倒損失の計上が認められるのは以下の3つです。

  1. 法律上の貸倒れ・・・債権が法律上消滅し、回収不能となった場合
  2. 事実上の貸倒れ・・・債務者の資産状態などから債権が経済的に無価値化し、全額が回収不能と認められる場合
  3. 形式上の貸倒れ・・・売掛債権について一定期間以上の取引停止などの事実が生じた場合

1.法律上の貸倒れとは以下の事実が生じた場合をいいます。
  • 会社更生、民事再生、特別清算などの法的手続で債権が切り捨てられた場合
  • 債権者集会などの協議決定で債権が切り捨てられた場合
  • 債務超過の状態が相当期間(おおむね3年以上)継続し、書面にて債務免除を行った場合

2.事実上の貸倒れとは、法律上債権が消滅していなくても、債務者の資産状況や支払能力などからみて債権の全額が回収できないことが明らかになった場合のことをいいます。この場合は、明らかになった事業年度に貸倒として会計上損金処理すれば、税務上も損金として認められます。
なお、ここで、回収不能の債権につき担保物がある場合は、それを処分するまでは貸倒として損金処理することはできません。
処分の結果、受け入れた金額を債権から控除した金額が貸倒損失となることに注意が必要です。

3.形式上の貸倒れとは、債務者につき以下のような事実が発生すれば売掛債権について、備忘価額を残して損金処理すれば事務上も損金として認められます。
  • 継続的な取引先との取引が停止した時又は最終の弁済期から1年以上が経過した場合
  • 売掛債権の残高がその取り立てのために要する費用に満たず、支払いを督促しても弁済が無い場合

2013年8月16日
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