基礎知識 (法人税No.1) 

利益と所得はどう違うのか?
決算書上の「利益」は、「収益-費用=利益」の算式にて計算しますが、法人税法上の課税標準である「所得」はこの利益金額とはイコールではありません。

「所得」は、「益金-損金=所得」という算式にて計算されます。

両計算における収益と益金、費用と損金はほぼ同じ概念ですが、一部違っているものがあります。

本来は、利益と所得が一致することが望ましいのですが、税法は課税の公平や政策上の観点から益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入などの規定をおいているため、両者は完全に一致しないのです。

法人税の確定申告書は、法人の確定した決算に基づいて提出することになっており、この確定決算の原則に基づいて、決算により確定した当期純利益から加算減算等の調整を申告書の「別表4」で行うことになります。このように企業利益と課税所得を調整するためのルールを税務調整といいます。

たとえば、交際費は、主として得意先との取引関係を密にして売上を伸ばすために支出されるもので、会計上は決算書にて「経費」として費用計上されます。

ところが、法人税法上では、交際費は「冗費の節約」「資本の蓄積」という観点から、原則的に「損金」として認めない取り扱いをしています。

その他にも、「引当金」や「法人税額等」「資産の評価損」「減価償却費の償却超過額」等「収益と益金」、「費用と損金」の範囲が異なるため、会計上の「利益」と法人税法上の「所得」は異なる金額となるのです。

2019年8月17日
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