基礎知識 (法人税No.37)

ヘッジ処理について

前回は、デリバティブ取引の税務上の処理方法について説明しましたが、今回は、デリバティブ取引のヘッジ処理について説明したいと思います。ヘッジ取引とは、金利の変動や為替変動などのリスクが生じる可能性のある資産・負債につき、その相場変動等による損失を相殺又は減殺することを目的として用いるデリバティブ取引のことを言います。

ここで、ヘッジ取引のうち一定の要件を満たすものについては、ヘッジ対象に係る損益とヘッジ手段として用いられるデリバティブ取引に係る損益を同一の会計期間に認識しヘッジの効果を会計に反映させるための会計処理をヘッジ会計と言います。

デリバティブ取引は原則として時価評価され、評価差額が当期の損益として認識されますが、これでは、デリバティブ取引がヘッジ手段として用いられたときにヘッジ対象、ヘッジ手段の損益が期間的に合理的に対応せず、相場変動等による損失発生の可能性をヘッジ手段によりカバーするという経済的実態が財務諸表に反映されくなります。そこで、ヘッジ対象にかかる損益とヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を財務諸表に反映させるヘッジ会計が必要とされています。

上記のヘッジ会計は法人税法上でも認められており、具体的には「繰延ヘッジ処理」と「時価ヘッジ」という2つの処理方法が定められています。なお、ヘッジ会計が認められるためには以下の要件が満たされていることが必要となります。

  1. その取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが、文書により確認できること。
  2. 企業がリスク管理方針に関して明確な内部規定及び内部統制組織が存在し、その取引がこれに従って処理されることが期待されること。
  3. ヘッジ取引を行った後、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態、又はヘッジ対象のキャッシュフローが固定され、その変動が回避される状態が引き続き認められることによって、ヘッジ手段の効果が定期的に確認されていること。

2013年9月3日

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