基礎知識 (法人税No.29)

負債利子控除の処理について

前回は、受取配当金の益金不算入制度の概要について説明しましたが、今回は、負債利子控除の計算方法について説明したいと思います。ここで、完全支配関係(100%出資関係)にある子会社から受ける配当については、負債利子を控除せず、受取額の全額が益金不算入とされます。また、外国子会社から受ける配当は、受取額の95%相当額を益金不算入とする制度が別途設けられています。上記以外の法人からの配当については、益金不算入額の算定に当たり、次の二つの方法のいずれかにより負債利子の額を計算しなければなりません。

  1. 総資産按分法(原則法)・・・その事業年度に支払う負債の利子のうち、株式等に対応する部分の金額を実績により計算する方法
  2. 簡便法・・・基準年度(平成22年4月1日から平成24年3月31日まで)の実績により計算する方法

いずれの方法も株式購入のための負債利子を、総資産と株式の帳簿価額の割合で按分計算するという考え方に基づいています。

負債利子×株式等の金額/総資産=株式取得の負債利子

原則法により控除する負債利子の計算式は以下の通りです。

  • 一般株式の場合
    負債利子×(当期末及び前期末の一般株式等の簿価+当期末及び前期末の一般の証券投資信託の受益証券の簿価×1/2)/当期末及び前期末の総資産の簿価の合計額

  • 関係法人株式の場合
    負債利子×当期末及び前期末の関係法人株式の簿価/当期末及び前期末の総資産の簿価の合計額

次に、簡便法により控除する負債利子の計算式は以下の通りです。

  • 平成22年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始した事業年度を「基準年度」とし、その期間について上記の原則法の計算により、一般株式等と関係会社株式等との区分ごとに次表のような控除割合を計算します。そして、以後の年度は毎年この割合を使用し次表の算式で配当等から差引負債利子の金額を計算します。

  • 負債利子控除割合=基準年度の原則法による負債利子控除額/基準年度の負債利子総額

2013年8月27日

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